ホータン石
ホータン石とは中国の和田(ホータン)という場所で取れた翡翠で、和田玉(ホータンユウ)と呼ばれるものです。
ホータンは中国では高品質の石の産地として最も有名な場所です。
翡翠には「軟玉(ネフライト)」と「硬玉(ジェダイト)」の2種類があります。軟玉はCa角閃石、硬玉はNa輝石というもので、鉱物としては全く別のものなのですが、見た目が類似しているためどちらも翡翠と呼ばれています。
ただし宝石の翡翠といえば、一般的には硬玉の方を指し、軟玉の方は価値が低いとされています。そのため硬玉の方は本翡翠といわれ、軟玉の方は場合によっては偽者に近い扱いを受けることもあるようです。
ホータン石はその軟玉、すなわち一般的な翡翠ではない、価値の低いといわれている方の翡翠です。
しかし古来より中国では、硬玉より軟玉の方を重要視していました。
中国では昔から美しい石を「玉(ぎょく)」と呼び、重宝していました。その中でも特に翡翠は格別とされ、カワセミの羽根の美しさを思わせることから、カワセミを意味する翡翠と名付けられたといわれています。
特にホータン産の翡翠は最高級品で、中国ではときに権力の象徴となり、王位継承の象徴に使われたりもしました。
ホータン石にはいくつかの種類があり、色とりどりな玉の中でも白いもの、「白玉」と呼ばれるものに最も価値があり、その白玉の中でも羊の脂のようにぬめりとした光沢と質感を持つ「羊脂玉」は最高の価値があるとされています。
そのことから玉とは翡翠のこと、もしくは白玉そのもののことを指すこともあるようです。
当時の中国人が鮮やかで美しい他の玉や硬玉よりも、ホータン石の羊脂玉を選んだのは、中国人の美的感覚が、羊脂玉の持つ暖かく豊かな潤いを好んだからです。そしてこの世とあの世を繋ぎ、命の力を宿す石として、神秘的な再生の力をその中に見ていました。
さて、実は現在このホータン石が、長い時を経て再びスポットライトを浴びているのです。
その原因は北京オリンピックにあります。メダルにこのホータン石が埋め込まれるそうです。金メダルに埋め込まれるのは最も価値の高い白玉です。
このことをきっかけになって一躍、中国では玉の価格が軒並み高騰し、いまやホータン石、特に白玉は、なんと金(きん)より高い値段で取引されているという話です。
中国では価格の高騰しているこのホータン石。世界での価格がどう動くのか、今はまだ分かりません。世界の価格によってはさらなる高騰も、急激な暴落もありえるので、目が離せない状況です。